ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「せっかくだから、お正月は豪華にしたいなぁって。彩女さんのお許しが出れば、ですけど」
「もちろん、いいけど……おせち、作ったことはあるの?」
「フルで作ったことは、ないですね。だから一度やってみたかったんですよ。お重を買って、ガッツリ作りたんいです!」

 目がキラキラしている。おせちをすべて手作りするなんて、私には考えられないんだけど。

 実家では毎年、母が作っていたっけ。最初はほとんど強制的に手伝わされていたけれど、私があまりに不器用で余計に手間がかかるから、次第にキッチンから遠ざけられたのよね……悲しい思い出だわ。

「じゃあ、ガクくんにお任せしようかな」
「やった! 気合いを入れて作るので、楽しみにしていてくださいね!」

 本当に嬉しそう。人に尽くすこともだけど、料理自体が好きなのね。MISTEROでもフードを作っているようだし。
 彼が本当にやりたいことって、料理の仕事なのかな。……うーん、やっぱり違う気がする。

 家事をしていないときは、いつも自室でパソコンと向き合っているけれど、なにをしているのかは知らない。

 気になりつつも、詮索はしたくなかった。同居しているのは前へ進むためであって、お互いを束縛するためではないもの。話したくないことを無理に聞き出しても、彼の心はスッキリしないと思うしね。
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