ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「せっかくだし、明後日は少しオシャレしませんか?」
「え、オシャレ?」
「職場は、いつもスーツじゃなくてもいいんでしょ? だから、きれいめワンピとか着てくださいよ」

 私がスーツで仕事へ行くことが多いのは、単純に服を選ぶセンスがないから。スーツはなにも考えなくていいから、楽なのよね。

 クライアントとのセッションがない日は、ごくまれにオフィスカジュアルで仕事をすることはあるけれど……もちろんこれも、雑誌のコーディネート。

 きれいめのワンピースも持ってはいるものの、会社に着て行ったことはないし……と悩んでいたら、ガクくんがベッドから出て、クローゼットを開けた。

「ほら、これとか」

 そう言って、グレーのツイードワンピースを取り出す。
 下着以外の洗濯や掃除はすべてお任せしているから、彼は私の持ち物を大体把握しているのよね。

「このAラインワンピ、めちゃくちゃ素敵だなぁと思って。これを着て、イルミネーションデートしましょう」

 イルミネーションデート? そっか。デートって「男女が日時を決めて会うこと」だものね。私とガクくんに使っても問題ない単語よね、多分。

 でもオシャレなんてしなくても……と思ったけれど、確かに、せっかくイルミネーションを楽しむのにスーツだと味気ないか。

「そうね。たまには、いいかも」
「わーい! めちゃくちゃ楽しみです!」

 ワンピースをクローゼットへ戻すと、ガクくんがまた抱きついてきた。本当に犬みたいね。
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