ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 美味しい食事と、綺麗な部屋。それだけじゃない。それだけじゃないの。

 ガクくんがいてくれるから、いまの私の生活は充実している。ほかの誰でもない。生意気で少し意地悪で、だけどかわいくて優しい、ガクくんと一緒だから。

 早く会いたい。早く顔が見たい。その一心で、タクシーを降りたら小走りでガーデンテラスへ向かった。

「あ! 彩女さーん!」

 すぐに私を見つけて、ガクくんがブンブンと手を振った。その姿を見るだけで、とっても癒される。

「お仕事、お疲れ様でーす」
「遅れてしまって、本当にごめんね。あの……」
「彩女さん、めっちゃ汗かいているじゃないですか」

 ガクくんが笑いながら、私の顔に張りついている髪を耳にかけてくれた。不意打ちだったし、その表情がとても優しくて、思わずときめいてしまう。

 彼はたまに、7歳下とは思えないほどの包容力を発揮する。そういうところにもグッときてしまうなんて、私は相当ほだされているのかもしれない。

「お化粧室でお仕事モードを解除して、デートモードにしてきてくださいね。僕はちゃんと、ここで待っていますから」
 
 そうだった。メイクを直していないから、ボロボロだわ。さっき電話でも言われたのに、とにかく早くガクくんの顔が見たくて急いでしまった。

 せっかくのデートだと言われたことを思い出す。少しでも綺麗にしないと失礼よね。
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