nonsense magic
「は、い……、飲んでください」
……さすがに、ここまでしたら通報されてしまいそうで怖いけど。
口元にコップを添えて傾けると、そのひとはちいさく口を開いて、そのままごくり。
飲んでくれたことにほっと息をついたのも束の間、口を開いたまま、もう一度、と催促してくる。
「っあ、はい……、どうぞ、」
「………ん」
結局、コップ3杯。
……相当喉が渇いていたんだろうな。
「あの、お腹すいてますか?」
聞こえるように大きめな声で尋ねると、そのひとはちいさく首を横に振る。風邪の時はなにかお腹に入れた方がいいけど、無理やり食べてもらうのも……。
「これ、薬です。市販の錠剤なのですが、飲めますか?」
次は頷いてもらえたので、買ってきた薬の箱の裏側を確認する。年齢によって服用する数が違うらしい。
「……あの、年はおいくつですか?」
見た目だと、わたしよりも2つ上くらい……?
「……、16」
え、と思わず口から声が漏れる。
そんなわたしに不思議そうに首を傾げるそのひとは、わたしと同い年らしい。
「じゃあ、2粒です。……たぶん、これを飲んでゆっくり休めば熱下がります、よ」
薬はさすがに飲ませてあげられないから、ベッドの横のローテーブルにお水と薬を置いておく。
……熱、さがりますように。