nonsense magic






……と、軽く目を細めたそのひとは。


「こころ」


耳元、甘ったるい掠れ声。
このひとを纏う雰囲気が、変わった。

カンチガイじゃなくて、わたしのことを呼んだんだって、わかる。


操られるように瞳を持ち上げてしまうわたしに、ふ、と片口角だけを持ち上げて、余裕そうな表情をつくられる。


軽く目を細めるその表情に─────ドクリ
ドクドクっと、心臓が揺さぶられて、頬に熱が溜まる。



「……っ、」


顔をそらしたタイミングで、手の甲をなぞっていた指先が、ぎゅ、とゆるい力をこめた。

爪先が皮膚をすべる感触に、胸の奥がちいさく疼く。


───────こわい、


瞳は柔らかく弧を描いてる、口元だって笑っている、けど。

なにを考えているのか全くわからない、温度が欠けた瞳。
 

無機質な瞳と向けられる甘ったるい笑みが、あまりにもミスマッチ。


「っなまえ、……おしえてください」


咄嗟に距離を取る。
このままこのひとの瞳に囚われたままじゃあ、だめだと。



『─────おまえの手、ぬくいね』


 

……なんでそんな取り繕うんだろう。それなら、きのうのカオのほうが、よっぽど───



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