nonsense magic
そして、微かな息遣いが聞こえたかと思うと、そのまま数秒沈黙。
名前、教えてくれないのかな……?
おそるおそる閉じていた瞳をあけると、じいっと、正面から視線を向けられていた。
思わず首を傾げると、彼はさっきのつくったカオとはちがう、表情がほとんどない、真顔を浮かべていることに気づく。
カオの綺麗なひとの真顔って、ちょっとこわい……な。
なんとなく数秒見つめ合うと、薄い唇が開かれた。
「おれは、早水桐」
はやみ、……きり。
それがこのひとの、名前。
なぜかよくわからないけど、喉のあたりがじわっと熱くなって、変な感覚。
「早水、さん……?」
「んーん、名字じゃなくて名前がいい」
いつのまにか、真顔をといた早水さん。
ぽろり、無意識にも溢れたセリフに、そのひと──────じゃなくて、早水さんは目を細めたまま、まるでこちらを探るみたいに口角をあげる。
名前がいいって、名前で呼んでってこと……?