nonsense magic




「きり、さん……?」

「さんいらない。もう一回」

「……きり、」


勢いで言ってみたけど、呼び捨ては、……さすがに無理だ。


「とりけし、します」

「……ふ、とりけすの?」

「はい……。きりくん、って、呼んでもいいですか?」

「ん。じゃあそう呼んで」



よくわからないけどOKをもらえたようで、ほっとした。さすがに初対面の男のひとを呼び捨ては失礼だろうし、レベルが高い……から。


「あー……あと敬語な。歳いくつ?」

「じゅうななです……、えっと、じゅうなな、だよ」
  

敬語とタメ口がごちゃごちゃ。
……な、慣れない。


きゅっと口を結んで俯くわたしに、おかしそうに目元を緩めた……きりくんは、おれもじゅーなな、って。


知ってるよ、……なんて、心のなかで呟きながら。そっと視線を合わせる隙間で、やっぱり、きりくんは17歳に見えないな、と、若干失礼なことを考える。


ロゴの入った黒のスウェットに、同じ色のゆるいズボン。
アクセサリーとピアスもどれも大人っぽくて、一目見ただけでセンスがいいってわかる。



立ち振る舞いも洗練されていて品も良さそう、……でも、やっぱりいろいろミスマッチで、不思議ひとだとおもった。  



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