nonsense magic
──────ブー、ブー
静寂を制したのは、聞き覚えのあるバイブ音。
ガラステーブルに置いてあるわたしのスマホ……は真っ暗、ということは。
「ごめん、おれの。……でてもいい?」
「じゃあ、わたし部屋出てま……、出てるね」
くるり、ベッドに寄りかかる桐くんから背を向けて、ドアを閉める。
ドアが閉まったことを確認すると、早足でリビングへと続く階段を下がって、いちばん下の段にずるずると腰を下ろす。
「(びっ、くりした……)」
正直、スマホが鳴ってれてよかった……、なんておもってしまう。
気まずい、とはまたちがうのだけど、きりくんとふたりきりは、なんだか心臓が忙しくて、すこしだけ居心地がわるい。
……それに。
「(わたし、きりくんと、いちおう……、キス、)」
さっき、名前を呼ばれたそのときから。
『この子、おれのオンナ』
昨夜の熱が蘇ってきてから、きりくんとうまく顔を合わせられない。