nonsense magic
でも、そんなふうに感じているのは、わたしだけ。
……相手は気にしてるそぶりもないし、熱があったから覚えていない、とか。
"おれのオンナ"っていうのも、あの男を遠ざけるための都合のいいセリフ。
……キスだって、同じような理由だって、わかっている。
でも、まさか初対面のひととすることになるとは。別に大事に取っておいたわけでもないし、イレギュラーな状況での最善策(?)だったと思えば納得できる。
……不思議なことに、きりくんに対してすこしの恐怖を感じることはあっても、不快感や嫌悪感は感じない。
それは多分、きりくんがすごく自然にふれてくるから。
きりくんには下心とか邪な感情は混同していないのに、わたしが勝手に意識してるだけ。
あと、わたしが単純なだけなのかもしれないけど……、どんな方法でも、助けてくれたひとには変わりなくて。
……でも、変に距離を詰めてしまっても、なんて、またぐるぐると色々なことを考えてしまうから。
「(……、よし、)」
こんなのいちいち気にしていてもしょうがない、と自分に言い聞かせることにする。
だって、たぶん、──────あのひとと会うのは、今日が最後だから。