nonsense magic
はあ、と熱っぽい息を吐きながら、辛そうに顔を歪めると、自力で立ち上がろうとているのかぎゅっと腕に力が込められる。慌てて引き止めようとするよりも先に、バランスを崩してしまった彼に覆い被さられるような体勢で、また座り込んでしまった。
……こんなに体調が辛いのに、助けてくれたの?
「(こういう時、どうしたらいい?このひとの家が近いならタクシーを呼ぶ……?それとも救急車、)」
落ちていたスマホを手繰り寄せて、119の番号を打ち込んで、電話をかけようとスマホを耳に当てた瞬間。
「っ、……!」
辛そうに震える指先が、耳にあてていたスマホを掴む。戸惑いの表情で見つめれば、今にも閉じそうな瞳で首を横に振られ、制されてしまう。
……病院は、だめ?
でも、蒸した空気が充満するこんな夜に、こんなに体調の悪そうなこのひとをこの場所に放置することは出来ないし、家の場所を聞こうにも、このひとの意識はもう半分眠りの世界の中だ。
どうしよう、と頭を悩ませているその瞬間も、辛そうな吐息が首元にかかる。少しでも落ち着くように背中をさすっていると、きゅ、とスウェットの裾をよわい力で握られて、どうしようもない。
「……もうすこし、待っててください」
:
「すみません、……までお願いします」