冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
夜十時過ぎ。お風呂を終えた咲穂が冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出したところで、櫂が帰宅した。
「あ、おかえりさない」
どんなに顔を合わせたくないと思う日でも、櫂に『おかえりさない』だけは必ず言おうと決めていた。それは自分が彼に与えられる唯一のものだから。
「ただいま」
櫂はなにも悪くない、だから普通にしなければ。咲穂は必死になんでもない顔をよそおった。
「遅かったですね、おつかれさまです」
「あぁ、なんだかバタバタしていて」
疲れているのだろう。自身の肩を揉みながら彼はそう答えた。
「明日もちょっと……今日より遅くなるかもしれない」
「わかりました。お仕事、忙しそうですね」
「そうだな。でも、明日は仕事じゃなくてプライベートだから。俺のことは気にせず、先に休んでいてくれ」
「わかりました」
ゆうべの一件のせいか、櫂もどことなく気まずそうな顔をしている。空気に耐えかねて、咲穂は「おやすみなさい」と逃げるように部屋を出た。
翌日の昼休憩。自分のデスクでランチをとっている咲穂のもとに、また梨花がやってきた。ただの嫌がらせなのか、なにかたくらんでいるのか。彼女の目的がはっきりしないのが不気味だった。
「今度はなんの用でしょうか?」
そんなつもりはなかったが、咲穂の声は冷たく響いた。
「そんなに怒らないで。咲穂さん、昨日の私の話を疑っていたみたいだから……」
梨花は楽しそうにクスクスと笑いながら、咲穂のデスクの上にカラー印刷されたチラシのようなものを置いた。
「なんでしょうか、これ」
「昨日の話が本当だっていう証拠を見せてあげようと思って」
「あ、おかえりさない」
どんなに顔を合わせたくないと思う日でも、櫂に『おかえりさない』だけは必ず言おうと決めていた。それは自分が彼に与えられる唯一のものだから。
「ただいま」
櫂はなにも悪くない、だから普通にしなければ。咲穂は必死になんでもない顔をよそおった。
「遅かったですね、おつかれさまです」
「あぁ、なんだかバタバタしていて」
疲れているのだろう。自身の肩を揉みながら彼はそう答えた。
「明日もちょっと……今日より遅くなるかもしれない」
「わかりました。お仕事、忙しそうですね」
「そうだな。でも、明日は仕事じゃなくてプライベートだから。俺のことは気にせず、先に休んでいてくれ」
「わかりました」
ゆうべの一件のせいか、櫂もどことなく気まずそうな顔をしている。空気に耐えかねて、咲穂は「おやすみなさい」と逃げるように部屋を出た。
翌日の昼休憩。自分のデスクでランチをとっている咲穂のもとに、また梨花がやってきた。ただの嫌がらせなのか、なにかたくらんでいるのか。彼女の目的がはっきりしないのが不気味だった。
「今度はなんの用でしょうか?」
そんなつもりはなかったが、咲穂の声は冷たく響いた。
「そんなに怒らないで。咲穂さん、昨日の私の話を疑っていたみたいだから……」
梨花は楽しそうにクスクスと笑いながら、咲穂のデスクの上にカラー印刷されたチラシのようなものを置いた。
「なんでしょうか、これ」
「昨日の話が本当だっていう証拠を見せてあげようと思って」