冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
『僕は絶対に咲穂ちゃんを泣かせないと誓うよ。今は君が、櫂を思っていても構わない。一パーセントでも僕が入れる余地があるなら……諦めたくないんだ』

 いつも飄々としている悠哉からは想像もできない熱い台詞。彼は自分にはもったいない、素敵な男性だ。だけど……。

「ごめんさい。私、櫂さんが好きです。たとえ櫂さんが私を好きになってくれなくても、別の女性を愛していても……私は百パーセントで櫂さんが好きなんです! それだけは絶対に変わらない。だから、七森さんの気持ちには応えられません」

 頭で考えたわけじゃない。咲穂の心が、迷わずに答えを告げていた。

 もしかしたら、自分を幸せにしてくれるのは悠哉なのかもしれない。彼となら苦しくなったり泣いたりすることもなく、穏やかな日々を送れるのかもしれない。

(でも……苦しくても、泣くことがあっても、私は櫂さんと一緒にいたい。私が櫂さんを幸せにしたいんだ)

 自分の気持ちを強く、はっきりと自覚する。それが悠哉にも伝わったのかもしれない。彼は「ははっ」と小さく笑う。

『やっぱりか。咲穂ちゃんはそう言うと思ってた。悔しいけど、そういう性格も好きだから、仕方ない』
「ごめんなさい。それから、ありがとうございます」
『そう思うなら、ちゃんと櫂に気持ちを伝えてね。僕の失恋を無駄にしたら怒るから』

 冗談っぽく言ったけど、それはきっと彼の本音だろう。咲穂は笑顔になって、彼に返事をする。

「――はい、約束します」
『応援してるよ』

 悠哉との電話を切った直後、バタバタと玄関のほうが騒がしくなった。咲穂のいるリビングの扉が勢いよく開いて、櫂が飛び込んでくる。
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