Sana ∞ Ayato
「おい。サナ」
「何よっ?」
俺が名前を呼ぶと、サナは肩をビクっと震わせて振り返った。普段は若干カタコトなのに感情が荒ぶると流暢になるのは、どうしてなんだろうな。
そこら辺わかんねぇけと、サナの青い双眼は手に持った鏡を力強く握り締めて俺の顔を映し出す。
「何してんだよ」
「別に。化粧直ししてただけヨ」
「化粧直し?」
「もう。煩いわネ。何だっていいでしょう」
素っ気なく俺に返事をしてサナは持っていた鏡をそそくさと鞄に片付けた。
いや、お前今日スッピンじゃんと思ったけど敢えて突っ込むのはやめた。誤魔化すってことは言いたくないってことだろうし。
サナはそんな俺を真剣な表情でじっと見つめてきた。若干、動揺しつつも“あぁ、はいはい”と思いながらゆっくりと顔を近づける。
瞬間、頬に痛みが走った。不意打ちすぎて思わず舌を噛みそうになる。
「痛ってぇっ!何すんだよ!!」
「アヤトが変なことをしようとするからヨ」
「はぁ?変なことって何だよ」
「それが変なことじゃないと思ってるなら友達をヤメるわ」
「そこまで言わなくてもいいだろ」
打たれた頬を押さえ、澄ましているサナを軽く睨む。
こいつ……。ほんと、可愛いげねーわ。確かに顔はS級に可愛い。つーか、美人。肌もきめ細かいし。スタイルも下手すりゃ、その辺のモデルよりもいい。
付き合いの長い俺でさえ、時々ドキっとさせられる時があるんだから、そりゃ他の男どもからすれば天使に見えると思う。
だけど、性格は悪魔だ。マジで狂暴。鬼みたいに気が強すぎる。