誓約付き!?期間限定の同居生活~不仲なはずの狼系ドクターは、義妹を寵愛する
「富城先生。ようやく、徳関に来る気になってくれたようですね」
「お断りに来ました」
「・・・え、ええっとー、私の聞き間違いですかね、今、何て?」
「お話は、お断りします」
「あ、あぁ、これは失礼しました。報酬の話がまだでしたね。先生なら」
「いくら報酬を積まれようが、ここには来ません」
「はぁ?それなら、わざわざ何しに来た?」
「私の妻に、辛い思いをさせた人の顔を見たくて。お会いしましたよ、中上さんに」

天真先生は、大野先生を直視している。
「大野先生にも、色々ご指導いただいたようですし」
「そんなこと言いに、わざわざ来たのか!私を怒らせたいのか?私が一緒にいた政治家と昵懇(じっこん)の仲なのは、分かっただろ?白波が困っても知らないぞ!」
顔を赤くして、激高している大野先生に対して、天真先生は平然とした顔をしている。

「政治家?あぁ、この間、貴方が後ろから、胡麻すりしていた人ですか?」
「失礼な!先生に君のことも、報告するからな!失礼なことを言って、断ったって」
「貴方が慕っている先生が、先日、白波院長に何を言ったか、ご存知では無いのですね?」
「な、何だ!?」
「『私が心臓疾患になった時は、真っ先に白波病院にお世話になるから、富城先生に手術をして欲しい』って言ってましたよ。院長が、大野先生が専属医でしょ?って聞いたら、自分の命を任せる人は、私も選ぶよってね」

それまで勢いがあった大野先生は絶句して、ソファの背もたれに、力なく寄りかかっていた。
「では、これで失礼します。美来、行こうか」
先生は私の手を引いて、来客室を後にした。
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