誓約付き!?期間限定の同居生活~不仲なはずの狼系ドクターは、義妹を寵愛する
心を許す存在・・・特別な人・・・
じゃれ合う2人を、これ以上見ていられない。
私は慌てて、違う通路から検査部に向かって、歩き出した。

どうして・・・どうしてなの、先生・・・
その女性は誰?どうして、怒ってくれないの?俺には彼女がいるんだって。
それとも、恋愛経験の無い私なんて、簡単に騙せるって思ってるの?

あまりのショックに、涙も出ず、それからの仕事は何をしたのか、誰と何の話をしたのかも思い出せない。
私は、定時になると、急いで家に帰り、実家に戻る荷物を纏めた。
先生と、顔を合わせたくない。
きっと責めてしまうから。

ベッドを見ると想像してしまう。
もしかして、今日の女性も、自分と同じように先生と愛し合ったことがあるのかなぁ・・・
胸が張り裂けそうになる。

過去のことは仕方ないとしても、この家で先生を待つ時間、今日の女性と過ごしているかもしれないと思うと、我慢出来ない・・・
余裕なさ過ぎる自分に、情けなくなる。

取りあえず、これだけあれば・・・
キャリーケースを持って、靴を履こうとした時、玄関のドアが開いた。

「先生・・・」
「・・・何だ、その荷物。何処に行く?」
先生の顔を見ると、昼間見た光栄が脳裏に浮かび、嫉妬心が込み上げてくる。
「・・・しばらく実家から通います」
「俺は今の状況が全く分からない。こっちに来い」
私の手を掴もうとしたのを、払いのけた。

「自分の胸に手を当ててください。心当たりがあるでしょ?」
先生の横を通り過ぎようとすると、私の腕を掴んで振り向かせた。
「離してください!」
先生は、凄く怖い顔をして、黙って私を見つめた後、
「勝手に自分で決めつけて。俺がいつ、美来が怒るようなことをしたんだ?」
低く押し殺すような声に固唾を呑んだ。
「黙ってたら、分からないだろ?」
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