推しにおされて、すすむ恋
「……え?」
今の――って思っていると、玲くんが私から離れる。
その顔は赤くて、すっごく照れていて。
私と目が合うと、眉を下げて笑った。
そして、まだ騒がしく空を見ている皆を見ながら、「しー」と。自分の唇に、長い人差し指をあてる。
「みんなには内緒、ね?」
「!」
やっぱり、今のって、キス⁉
気付いてから、すごい速さで唇に手をあてる。
今の一瞬で、したの⁉
皆にバレずに⁉
どんな早業⁉
「……~っ」
いろいろ衝撃だったけど、嬉しい。
私たち、本当に付き合ってるんだ!
「あの、玲くん」
「ん?」
玲くんも空に舞う「ある物」を見ながら、私の方へ体を倒す。近くなった耳に、私は遠慮なく口をもっていった。
「玲くんの彼女になれて、すっごく嬉しいです。
これからも、よろしくね」
「!」
握りこぶしを口にあてた玲くんは、少し照れた後。改めて、私と向き合った。
そして「こちらこそ」と、切れ長の目を細める。