「生きること」 続編


わたしは、退院すると退職することなく、仕事を続けた。
幸いなことにつわりはなく、少し眠気が強くなったくらいだ。

わたしは、「大丈夫です。」と言ったのだが、岡部さんに「もう一人だけの身体じゃないんだよ!」と強く言われ、出勤は週2のままで勤務時間を4時間に短くしてくれたのだった。

そして、あれから敬ちゃんの姿を見ることはなくなった。
外舘先生の話によると、転院したらしい。

あんなことがあって、わたしに会いづらくなったのだろう。

それから家では、黒木さんが「くる実さんは寝ていてください!」と言い、ほとんど家事を毎日こなしてくれていた。
苦手だった料理も、そのおかげで上達していたのだ。

「わたしも手伝いますよ?」と言ったのだが、「大丈夫です!くる実さんは身体を大事にしてください!」と言い、出勤前に掃除機をかけ、わたしがお昼食べるためのお弁当まで用意してくれていた。

「過保護すぎますよ?」
「今は、過保護でいいんです!」

そう言い、笑い合うわたしたち。

クロダさん、ありがとうございます。
もし、わたしがあの橋を渡っていれば、この幸せはなかったかもしれない。
これは、止めてくれたクロダさんのおかけだ。

「じゃあ、僕はそろそろ行きますね!くる実さんは、安静にしててください!」
黒木さんはそう言うと、わたしにキスをし、そのあとでわたしのお腹にもキスをした。

「いってらっしゃい!」

黒木さんを見送るわたし。
色々あったけど、今のわたしは今までで一番幸せだ。


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