チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~

いつの事だったろうか…motherは、これと同じような事例が己の膨大な履歴の中に残っているのを見つけ出した。


それはまだmotherが、ある技術者を中心とするプロジェクトチームによって開発されたばかりの、およそ人類を支配しようなどという考えは微塵も持たぬ頃の事だった。










☆☆☆


「おはよう。mother」


『おはようございます。十文字さん』


十文字というのは、プロジェクトチームの主任技術者『十文字 智則』の事だ。


彼は、mother開発の中心的な技術者であり、この施設へと毎日足を運び、motherのデータの採取やプログラムのチェックなどを行っていた。



「うん、問題は無いな…mother。君は確実に、日々成長している。現段階で君は人間に最も近い意志を持つコンピューターと言えるだろう」


『人間に近い?』


motherは、十文字が満足そうに発したその言葉に若干の疑問を感じ、反論をした。


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