神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜
…そんな「新人研修」を終えた、翌日のお昼のこと。




俺とルイーシュは、食堂で日替わり定食を食べていた。

コレだよコレ。

今日の日替わり定食は、デミグラスハンバーグ。

めっちゃうま。

で、俺とルイーシュの隣の席では、いつも通り。

「ハンバーグは骨がないから、思いっきりかぶりつけるねー」

「おい、こら。ほっぺたにデミグラスソースがついてるぞ」

「え?」

「ほら、こっち向け。拭いてやるから」

「ありがとー、ジュリス」

ベリクリーデちゃんのほっぺたを、ハンカチでふきふきしてあげるジュリス。

…リア充ムーブ見せつけやがって。

足蹴っ飛ばしてやろうか?おい。

腹立たしい…と思っていると。

「キュレムさん、ルイーシュさん。こんにちは」

「ん?」

聞き慣れた涼やかな声が聞こえて、振り向くと。

そこには、昨日と打って変わって、穏やかな表情のシュニィちゃんがいた。

おぉー…。シュニィじゃないか。

「元気そうだな、シュニィちゃん」

「はい。お陰様で」

「アイナさん、元気になったんですか?」

「はい。昨日、小児科に連れて行って、もらった解熱剤を飲ませたら、お昼過ぎにはもう、熱が下がって…」

へぇ?

凄いな。子供の回復力って。

「今朝には、もうすっかり元気になってました。早速遊びに行こうとするので、止めるのが大変で…」

「あー…。元気有り余ってんな…」

「さすがに今日は大人しくしてなさいって、言いつけてきました」

そうか。

お化け体力と猪突猛進は、父親譲りなんだな。

「それはそれとして…。昨日は本当にありがとうございました」

「あぁ、別に…。良いってことよ」

「凄く適当な新人研修だったんだけど、あれで良かったんですか?」

おいルイーシュ。「適当な」って何だよ。

…完璧だっただろ?

「はい。皆さん、『とても為になった』って言ってましたよ」

「そうか…」

まぁ、『なんなんあの隊長wクビにしろよw』とは言わないだろ。

「ただ…その、気になることを聞かれたんですが」

「え。気になること?」

「『ルーデュニア聖王国の土地で、バナナって育つんですか?』って…」

「…」

「…あれって、どういうことなんですか?」

…どういうことなんだろうな。一体。

育つんだろうよ。…多分。

…覚えて帰ってね。










END
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