空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 市場の中を進み、奥にある漁港にやってきた。ここには、東海林さんたちの漁業組合の所有する船が停泊している。

「海花さん、これを」

 凌守さんはとある漁船の前で立ち止まり、私にライフジャケットを差し出した。

「小型船舶では、乗員全員の着用が義務付けられていますので。万が一の時に、海花さんを守ってくれるものです」

 凌守さんはそう言うと、私に着せてくれた。

「よろしくお願いします」

 私は三人に向かって、もう一度頭を下げる。東海林夫婦は既に乗り込み、漁船を動かす準備をしてくれていた。

 今日は漁は休みの日だ。私のためだけにここまでしてくれているのだと思うと、申し訳なさと頑張らなくてはという思いが湧いてくる。

 だけど、小型の船は波を受けて少しずつ右左に傾き、プカプカと海に浮かんでいる。
 その揺れが、私の鼓動を嫌なふうに加速させた。
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