空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 胸元にある、母のペンダントが目に入る。
 そうだ、私にはこれがある。私は顔を上げ、凌守さんに告げた。

「それに、私にはこの希望のペンダントもありますから。きっと、大丈夫です。今度こそ」

 言いながら、今朝、東海林さんの漁船に乗れなかったことを思い出し、悔しさにきゅっとペンダントを握りしめてしまった。

 すると、なぜか彼の手がペンダントを握った私の手を優しく包む。
 両手で、まるで壊れ物を扱うみたいに、優しくふわりと包まれる。

 彼の手の大きさと、その温もりから伝わってくる優しさに、心がドキドキと反応してしまう。
 こんな気持ちを抱いてはいけないと思うのに、真剣な瞳で見つめられ、私は彼の手を振りほどくことはできなかった。

「凌守、さん……?」

 だから代わりに、彼の名前を呼ぶ。すると凌守さんは満足そうに頷いて、私の手から手を離した。

「俺も、願を懸けておきました。海花さんを、守ってくれるように」

 思わず目を見開くと、彼は優しい笑みを浮かべた。
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