空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
第四章

1 新しい日々と新たな不安

 あっという間に日々は過ぎ、今はもう十二月の頭。すっかり空気は冬の寒さをまとい、道行く人々は厚手のコートを羽織っている。

 私は、アルカディアポートホテルのオープン以降、忙しい日々を送っていた。

 ホテルはオープン後は宿泊客がいるため二十四時間フルタイムで稼働する。そのため、いつどのお客様からの問い合わせにもお答えできるよう、コンシェルジュもホテルに常駐しなければならない。
 研修までは日勤がメインだったが、夜勤や当直日が増え、余計に毎日が慌ただしく過ぎていたのだ。

 凌守さんからの連絡は、あの日以降ない。というのも、私が遊覧船に乗れた後、凌守さんにこうメッセージを送ったからだ。

【遊覧船、無事に乗船することができました。海への苦手意識、克服できたので、もう一人で大丈夫です!】
【今まで、ありがとうございました】

 私なりの、けじめをつけるためのメッセージ。それを彼は受け取ってくれたのか、凌守さんは【これからも頑張れ】というスタンプを私に送ってくれた。

 寂しくないといえば、嘘になる。だけど、時折海を見て、向こうに見える空港の中に彼がいるのだと、あそこで彼も頑張っているのだと思うに留めた。
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