空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「ですが、海上保安官として、自分が許せません。海花さんが長年、ずっと苦しんでいた原因を作ってしまった。いくらお詫びしても、し足りることはないと思っています」

 彼のその言葉に、私は押し黙る。椅子に深く座り直し、父を想って拳を握った。すると、目の前にいる幸華さんが、口を開いた。

「海花ちゃん。あなたを大切に思っていたのに、とんでもないことをしてしまったと、今もずっと思ってる。でも、私はあなたが本当の家族のように慕ってくれるのが、とても嬉しかったのは本当よ。私たち、子どもがずっと出来なくて……だから。なのに、こんな……ごめんなさい」

 幸華さんは言いながら、再び泣き出してしまう。

「幸華さん……」

 思わず彼女の名をこぼすと、隣の東海林さんも涙を拭って口を開く。
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