空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「何よ、ヒーロー気取り。本当は、御船伊なんかここで滅亡してしまえって思ってるんでしょう」
「そんなわけあるか!」

 凌守は腸が煮えくり返るのを感じながら、努めて冷静に口を開く。
 自分の使命と共に、海花の顔が脳裏に浮かんでいた。海で大切な人たちを失った、彼女のためにも。

「どんな相手だろうと、俺は助ける。誰一人、海で死なせはしない」

 真剣な凌守の眼差しを浴びたからか、麗波がはっと息を呑む。

「それにお前も、生きて海花さんに詫びるべきだ。彼女を、長年苦しめ続けたことを」

 凌守の言葉に、麗波の顔が歪む。彼女は俯いたが、凌守は彼女の心変わり感じ取った。

「脱出するぞ」

 凌守は表情のバラバラな三人に向かって、静かにそう言った。きっと、全員ついてきてくれる。

 しかし、次の瞬間。
 背後の扉のほうから、ガラスの破裂音のようなものが聞こえた。
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