空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 ヘリポートには、海上保安庁のヘリコプター〝みみずく〟が既に止まっていた。
 その扉が開くと、警察官数名が駆け寄る。

「御船伊(たける)、造船の設計図偽造により逮捕状が出ている」

 御船伊重工社長を取り囲み、警察官の一人が罪状を突き出す。毛布を被った御船伊社長は項垂れたまま、私の案内したエレベーターへと連行されていった。

 それで緊張が一度解けたが、すぐに再び体が強張った。ヘリコプターから、毛布にくるまれた麗波が続けて降りてきたのだ。
 彼女は私と目が合うと、ふいっと顔を逸らした。しかし、そのまま口を開く。

「海花、その……ごめんなさい。今まで、色々と」

 突然の麗波からの謝罪。目を瞬かせていると、彼女はそのまま続けた。

「彼に、海花に生きて詫びろって言われたわ。悔しいけど、あんたは悪くない。海の悪魔の娘は、私」

 彼女の声は、悔しそうに震えていた。だけど、こちらをちらりと見ると急に語気を強める。

「知らなかったのよ! あんたの父親が無罪だったことも、あんたを監視するためにあの高校に入学させたことも!」

 泣きながら訴える麗波を、私は責める気にはなれなかった。
 あの日々はつらかった。だけど――。
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