空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「ありがとうございます、皆さん」

　昨年は失恋や異動があり、自分の誕生日などすっかり忘れていた。だけど今年は、こうして祝ってもらえるなんて。
　嬉しさに胸がいっぱいになり、思わず涙がこみ上げる。

「泣くのは、まだ早いんじゃないかな」

　店主さんがそう言った時、不意に凌守さんが視界から消えた。と思ったら、私の目の前で跪いていた。

「え？」

　疑問をこぼしていると、彼は突然ポケットに手を入れる。そして、取り出したものを手のひらに乗せた。

「これ……」

　そこにあったのは、赤いベロアの小さな箱。誰もが憧れる高級アクセサリーブランドのロゴが入っている。

「海花さん、お誕生日おめでとうございます。俺から、プレゼントを贈らせてください」

　彼はそう言うと、箱を開く。収まっていたのは、青にも赤にも光る美しい宝石のついた指輪だった。
　石の周りにはぐるっと小さなダイヤが埋め込まれ、まるで太陽のようなデザインだ。
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