空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「ベキリーブルーガーネット……」

 このガーネットは、希少価値が高い。彼の気持ちは嬉しいが、誕生日だからといって安易に受け取れるものではない。
 気後れし思わず後ずさりしそうになる私に、凌守さんはそっと口を開いた。

「俺と、結婚してくれませんか?」

 驚きすぎて、目を見開いたまま黙ってしまった。
 すると真っ直ぐに私を映していた凌守さんの瞳が、わずかに曇る。

「ち、違うんです! ただ、驚きすぎてしまって、その……すみません」

 慌てて弁解したものの、恥ずかしくて顔が赤くなる。しどろもどろになっていると、凌守さんはすっと立ち上がった。

「では、受けてくれますか?」

 もちろん、と伝えたくて、首をブンブンと縦に振る。
 すると、凌守さんは私の左手をすくい上げ、その薬指に青と赤に煌めく指輪を嵌めてくれた。
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