空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 ひんやりとした感覚と同時に、彼の想いが伝わってくる。指に嵌ったそれを見ていると、じわんと目頭が熱くなる。
 そんな私を、凌守さんは唐突に抱きしめた。

「絶対に、永遠に幸せにします。何があろうとも、あなたを守り抜く人生を俺にください」

 彼の言葉が胸に響き、急激に涙が溢れ出す。

「はい」

 涙ながらに伝えると、彼はそっと私の唇を塞いだ。
 やがて唇が離されると、複雑そうに微笑む東海林夫婦が目に入った。

「結婚式の費用、全部出させてくれ」
「そうね。盛大な式を挙げてちょうだい」
「いえ、そういうわけには――」

 恐縮してそう言うと、凌守さんに言葉を遮られた。

「では、半分お願いします。男の俺にも、花を持たせてください」

 そう言って、彼は爽やかに笑った。

 また助けられてしまった。
 和やかな空気。優しい時間。それにまた涙がこみ上げてしまう。
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