この想いが、キミに届きますように。

……あ、前髪、少しだけど汗で張りついちゃってる。


よく見ると、額から頬にかけて数滴汗が流れていた。


きっと、駅まで全速力で走って来てくれたんだ。


ついで、っていうのは、帰りの方向的に考えたら強ちうそではないかもしれないけど、実際は忘れ物に気付いた瞬間に教室を飛び出して、私を追いかけてくれていたに違いない。


……どうしよう。


迷惑、かけちゃった……。


「……ご、ごめんなさい……」


申し訳ない気持ちでいっぱいで、俯き加減でぽつりと告げる。


「え?どうして謝るの?」

「め、迷惑、かけちゃったから……」

「別に迷惑だなんて思ってないよ」


彼はそう言うと、彼は私の隣に腰かけてとびきりの笑顔をこちらに向けた。


「オレがそうしたかっただけだから」

「……!」

「むしろ勝手に持ち出して、ごめん……。考えるより先に体が動いちゃってたから、渡せなかった場合のこととか田宮さんがどう思うかとか全然考えられてなくて……」

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