桐田家のヒミツゴト(旧:合法浮気)
「あれ……?」
おかしいな。
自然の空気おいしー、気持ちいー、なんて歩き回ってたら、ぐるぐると同じところを歩いている事に気がついた。
後ろを振り返れば、お義父さん達のホテルだけは下界の方に見える。でも、肝心のキャンプ場とカフェが分からない状態だ。
朝、渡されたマップ(紙)、家に置いて来ちゃったし。ノースリワンピースのポケットに入ったスマホも圏外だ。
フリーWi-Fiのパス、マップに載ってたのに…。
諦めて、ホテルの方に降りるしかないのだろうか。
そう思ったとき、大きな木の上に建てられたツリーハウスが目に入る。
「可愛い……」
こんなのあったんだ。
急なはしごがかけられた先にある、太い幹の上にたつ小屋。
キャビンはあるとは聞いていたけれど、これもお客さん用なのだろうか。
「すみません、誰かいますかー?」
口元に右手を当てて叫んだけど反応は無い。中はどうなっているのだろうか。
辺りを見渡してから、はしごに手をかけて上がっていく。
メルヘンチックな木の扉を開けると──、
「……ぎゃっ!!?」
目の前に現れた人物に押し出されて、そのまま地面にストンと落ちた。