桐田家のヒミツゴト(旧:合法浮気)
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「右足首ヒビ入っるね~。腓骨骨折の一種でギブス固定で全治約2ヶ月ってところかな」
「え、骨折……ですか?」
「あとは全身の軽い打撲と~、頭部のCTの結果は明日でるから…何も問題なければ早くて明日退院だね~」
なんて、病院の先生の軽い声が診察室に響いた。
先生、笑い事ではなくて本気で痛いんですけど。
28年生きてきて、はじめて骨折する事になるなんて。
ツリーハウスから真っ逆さまに落ちた私は、なんとドクターヘリで病院に運ばれたのだ。
落ちた拍子に頭を強打し、意識が朦朧としていたからよく覚えてないけど、"彼"が智夜さんに連絡を入れて119番したらしい。
救急車にも乗ったことないのに、ドクターヘリなんて。とても貴重な体験だったと思うけど。
──もう絶対 乗りたくない。
「朝士、お前何をやってんだよ?」
「だ、だって……、俺っ、びっくりして」
「はぁ。彩里ちゃん、本当にごめんね~。うちの弟が…」
右足には足関節を覆うように白いギブス。痛め止めもようやく効いてきた。
病室のベッドのすぐ横には男の人が2人。
正確には、智夜さんの後ろにその弟の朝士くんが隠れるように立っている。