人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 数軒先にラーメン屋があった。
 知らない店だったが躊躇わずに入った。
 彼はチャーシュー麺を、わたしは味噌ラーメンを頼み、それを待つ間、瓶ビールを飲んだ。
 
 期待していなかったが、かなりうまかった。
 そのせいもあって、二人とも汁も残さず食べ切った。
 今度はわたしが先に伝票を掴んだ。
〈急な呼び出しに応えてくれたお礼〉だと伝えた。
 
「なんか、叫びたいな」
 ラーメン屋を出た途端、彼が大きな声を出した。
 わたしも同じ気分だった。
「カラオケでも行くか」
 彼が速攻で頷いた。
 駅前の商店街をカラオケ店を探して彷徨(さまよ)っていると、パチンコ屋の角を右に曲がったところに看板が見えた。
 全国展開している有名なチェーン店だった。
 その店名の下の大きな文字に目が吸い寄せられた。『シニア割引』。60歳以上は10パーセント引きになるようだ。
「いいね」
 一も二もなくこの店に決めた。
 いつもはシニアと呼ばれるのに抵抗があるのだが、今夜は得をした気分になってすんなりと受け入れることができた。


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