人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 指定された部屋に入ってウイスキーの水割りを頼んだ。
 そこまではよかったが、選曲をしようと歌本を探しても、そんなものはどこにもなかった。
 昔とはまったく違っていた。
 仕方がないので店の人を呼んでやり方を教えてもらった。
 タッチパネルでの操作だった。
 歌手名や曲名、ジャンルなどから探せるようだった。
 その中に、『あの頃』というアイコンがあった。
 それを見た瞬間、彼と目が合った。
 歌う曲が決まったと思った。
「ビートルズ?」
 彼が首を振った。
「ローリングストーンズ?」
 またも首を振った。
「ビージーズ?」
 彼が笑い出した。
「グループサウンズに決まっているだろ」
「だよね」
 わたしは右手の親指を立てた。
「何からいく?」
「もちろん、タイガース」
 彼は速攻で答えた。
『シーサイド・バウンド』と『君だけに愛を』を彼が、『花の首飾り』と『銀河のロマンス』をわたしが歌った。
 彼は完全にジュリー(沢田研二)になり切っていた。
 
「次はテンプターズだな」
 彼が『神様お願い』を歌い始めた。
 ショーケン(萩原健一)の真似が最高に上手かった。
 わたしは『エメラルドの伝説』を歌った。
 そして、ザ・スパイダースをメドレーで歌った。
『バン・バン・バン』
『あの時君は若かった』
『夕陽が泣いている』
 彼がマチャアキ(堺正章)で、わたしがジュン(井上順)の真似をした。
 そこで一息入れた。
 久し振りに続けて歌ったので喉がきつくなっていた。
 
 
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