人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
「これって、中学の時だっけ?」
彼が美味そうにウイスキーの水割りを飲み干して、視線を向けた。
「そう、確か2年生の頃だったように思う」
わたしも水割りを飲み干し、お代わりを2杯注文した。
「坊主頭だったよな」
「ああ、男はみんな坊主だった。それに、ニキビ満開だった」
「そうだったな。潰した跡がまだ残っているよ」
彼が右の頬を向けたので自分の右頬を触ってみたが、ザラザラとした感触はなかった。
それでも当時のことが蘇ってきて懐かしい気持ちでいっぱいになった。
すると、彼も同じような気持ちになったのか、当時のことをスラスラと口にした。
「小笠原がアメリカから返還されたし、建国記念日が制定されたよな。確か、EC(欧州共同体)が発足したのもその頃だったと思うよ。それに、ツイッギーが来日したのも同じ頃のはずだよ」
「ツイッギーか……。あのミニスカートは正に衝撃的だったよな」
ミニスカートの女王とも称された彼女の姿は日本男児全員を虜にしたと言っても過言ではなかった。
「ところで、ビートルズが来日したのもその頃だったよな」
わたしは大きく頷いた。
そのことは今でもはっきりと覚えていた。
「中学1年の時だよ。6月29日の午前3時39分、羽田空港に到着したんだ。残念ながらその映像を生では見られなかったけど、夜のニュースに映った彼らの姿を今でもよく覚えているよ。それに、詰めかけた女性ファンの数が半端じゃなかった。つんざくような歓声と嬌声でアナウンサーの声が聞こえないほどだった。女の人ってあんなに熱狂するんだと思ってびっくりしたのを覚えている」
「そうだったな。本当に凄かったな」
「ああ、言葉にできないくらいだ。それになんといっても武道館の演奏が最高だった。あんなに痺れたことはなかったし、あれから青春が始まったと言っても過言ではないような気がする」
「そうだな。俺の青春もあの時から始まったのかもしれないな」
彼は遠くを見るような目になっていた。
「多分そうだと思うよ。でもね、」
皺の目立つ自分の手を見つめた。
「あれから半世紀も経ったんだよな」
彼も自分の手を見つめていた。
「ああ、早いもんだよ。坊主頭のニキビ面が今ではシワシワおじいちゃんだからな」
「本当だな。あっという間だったな」
お互いの頭に視線をやってしんみりとなった時、水割りのお代わりが運ばれてきた。
口につけるとほろ苦く感じたが、それを払しょくするかのように彼が大きな声を出した。
「辛気臭い話は終わりだ。青春第2部スタート!」
わたしが持つグラスに彼がグラスを当てると、カチーンと音がした。
それを合図にしたように「俺はアイ高野で行くぞ」と宣言するように彼は言って、ドラムのスティックを持つ格好をした。
そしてすぐに選曲をして、ザ・カーナビーツの『好きさ!好きさ!好きさ!』を歌い始めた。
彼が美味そうにウイスキーの水割りを飲み干して、視線を向けた。
「そう、確か2年生の頃だったように思う」
わたしも水割りを飲み干し、お代わりを2杯注文した。
「坊主頭だったよな」
「ああ、男はみんな坊主だった。それに、ニキビ満開だった」
「そうだったな。潰した跡がまだ残っているよ」
彼が右の頬を向けたので自分の右頬を触ってみたが、ザラザラとした感触はなかった。
それでも当時のことが蘇ってきて懐かしい気持ちでいっぱいになった。
すると、彼も同じような気持ちになったのか、当時のことをスラスラと口にした。
「小笠原がアメリカから返還されたし、建国記念日が制定されたよな。確か、EC(欧州共同体)が発足したのもその頃だったと思うよ。それに、ツイッギーが来日したのも同じ頃のはずだよ」
「ツイッギーか……。あのミニスカートは正に衝撃的だったよな」
ミニスカートの女王とも称された彼女の姿は日本男児全員を虜にしたと言っても過言ではなかった。
「ところで、ビートルズが来日したのもその頃だったよな」
わたしは大きく頷いた。
そのことは今でもはっきりと覚えていた。
「中学1年の時だよ。6月29日の午前3時39分、羽田空港に到着したんだ。残念ながらその映像を生では見られなかったけど、夜のニュースに映った彼らの姿を今でもよく覚えているよ。それに、詰めかけた女性ファンの数が半端じゃなかった。つんざくような歓声と嬌声でアナウンサーの声が聞こえないほどだった。女の人ってあんなに熱狂するんだと思ってびっくりしたのを覚えている」
「そうだったな。本当に凄かったな」
「ああ、言葉にできないくらいだ。それになんといっても武道館の演奏が最高だった。あんなに痺れたことはなかったし、あれから青春が始まったと言っても過言ではないような気がする」
「そうだな。俺の青春もあの時から始まったのかもしれないな」
彼は遠くを見るような目になっていた。
「多分そうだと思うよ。でもね、」
皺の目立つ自分の手を見つめた。
「あれから半世紀も経ったんだよな」
彼も自分の手を見つめていた。
「ああ、早いもんだよ。坊主頭のニキビ面が今ではシワシワおじいちゃんだからな」
「本当だな。あっという間だったな」
お互いの頭に視線をやってしんみりとなった時、水割りのお代わりが運ばれてきた。
口につけるとほろ苦く感じたが、それを払しょくするかのように彼が大きな声を出した。
「辛気臭い話は終わりだ。青春第2部スタート!」
わたしが持つグラスに彼がグラスを当てると、カチーンと音がした。
それを合図にしたように「俺はアイ高野で行くぞ」と宣言するように彼は言って、ドラムのスティックを持つ格好をした。
そしてすぐに選曲をして、ザ・カーナビーツの『好きさ!好きさ!好きさ!』を歌い始めた。