人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
 次の日から推敲を再開した。
『地の文』の修正は大変そうなので、先ずは『しかし』と『そして』を削除、もしくは変更することから始めた。
 これはすぐにできそうだと安易に取り掛かったが、そうではなかった。
 削除したり言い換えたりすると、文がぎこちなくなるのだ。
 ぶっつりと切れたり、意味が通じなくなったり、しっくりこなくなったりするのだ。
 接続詞の使い方がこんなに難しいとは思わなかった。
 うんうん唸りながら亀が進む速度よりも遅いペースで直していった。

 結局、『しかし』と『そして』の削除と修正に10日もかかってしまった。
 そのせいで締め切りまで残り2か月を切ってしまい、ちょっと焦った。
 それでも付箋の数が大幅に減ったので、追い込みをかければなんとかなると活を入れて『地の文』の修正に取り掛かった。
 
 妻の言う通りだった。
 くどくど説明しているようなところや言い訳のようなところがあると認めざるを得なかった。
 登場人物の会話や仕草で表現すべきところを地の文で補っているためにとにかくくどく(・・・)感じるのだ。
 とはいっても、どう直せばいいのかわからなかった。
 地の文の上手な書き方なんて知るはずもないのだ。
 原稿を前にして腕組みをするだけの時間が過ぎていった。
 
 ところが、啓示は突如現れた。
 シャワーを浴びている時になんの前触れもなくある言葉が舞い降りてきたのだ。
 その言葉は『シンプル・イズ・ベスト』
 これだと思った。
 善は急げで、回りくどいところやカッコつけているところ、難しい表現を使っているところをどんどん削っていった。


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