人生 ラン♪ラン♪ラン♪ ~妻と奏でるラヴソング~ 【新編集版】
♪ 2019年6月~ ♪
締め切りまであと1か月と迫った6月7日、やっと推敲が終わった。
妻が付けた最後の付箋紙を剥がし、改めて印刷してダブルクリップで留めた。
夕食後、妻と向き合った。
あの日以来、ちゃんと話したことはなかった。
妻が発した『離婚』という言葉は頭の中で薄れてきてはいたが、それでも完全に消えることはなかった。
そんな状態でまともな話ができるはずはなかった。
それでも、原稿という仲立ちが存在することは救いのように思われた。
子供の存在が夫婦の関係に大きな影響を及ぼすように、原稿も同じ役目を果たしてくれそうな気がしたのだ。
それに、自らの内面と対峙した上で、強い想いを持って生み出したという点では子供と同じといっても過言ではないように思えた。
わたしは黄色のメモを手に持って妻の目を見た。
「悪かったな、気がつかなくて」
言おうと思っていたものとは違う言葉が口から出ていた。
自分で言って自分で驚いたが、妻も同じようだった。
目が大きく見開いていた。
「本当に悪かった」
わたしは頭を下げた。
妻は何も言わなかった。
「んん」
話題を切り替えるためにわざと喉を鳴らしてメモに視線を落とした。
「助かったよ。お陰で推敲を終えることができた」
妻は僅かに頷いた。
「もう一度読んでくれるかな」
一瞬間が開いたので拒否されるかと不安になったが、また僅かに頷いてくれた。
「読み終わったらまた感想を聞かせて欲しい」
原稿を妻の方に動かして席を立った。
これ以上喋る言葉は何も無かった。
あとは時間という薬が効くのを待つしかないのだ。
わたしの傷も妻の傷もじっくり治すしかない。
締め切りまであと1か月と迫った6月7日、やっと推敲が終わった。
妻が付けた最後の付箋紙を剥がし、改めて印刷してダブルクリップで留めた。
夕食後、妻と向き合った。
あの日以来、ちゃんと話したことはなかった。
妻が発した『離婚』という言葉は頭の中で薄れてきてはいたが、それでも完全に消えることはなかった。
そんな状態でまともな話ができるはずはなかった。
それでも、原稿という仲立ちが存在することは救いのように思われた。
子供の存在が夫婦の関係に大きな影響を及ぼすように、原稿も同じ役目を果たしてくれそうな気がしたのだ。
それに、自らの内面と対峙した上で、強い想いを持って生み出したという点では子供と同じといっても過言ではないように思えた。
わたしは黄色のメモを手に持って妻の目を見た。
「悪かったな、気がつかなくて」
言おうと思っていたものとは違う言葉が口から出ていた。
自分で言って自分で驚いたが、妻も同じようだった。
目が大きく見開いていた。
「本当に悪かった」
わたしは頭を下げた。
妻は何も言わなかった。
「んん」
話題を切り替えるためにわざと喉を鳴らしてメモに視線を落とした。
「助かったよ。お陰で推敲を終えることができた」
妻は僅かに頷いた。
「もう一度読んでくれるかな」
一瞬間が開いたので拒否されるかと不安になったが、また僅かに頷いてくれた。
「読み終わったらまた感想を聞かせて欲しい」
原稿を妻の方に動かして席を立った。
これ以上喋る言葉は何も無かった。
あとは時間という薬が効くのを待つしかないのだ。
わたしの傷も妻の傷もじっくり治すしかない。