北帝連―Taiju×shinobu編
牧村さんが作ってくれた水割りを口に付けながら、ふと、小さな矛盾がある事に気づいた。
「‥‥あれ?
連盟が出来れば、平和になるんですよね?」
「まあ、処罰されんのが分かってて抗争ふっかけるバカは居ないだろうな」
「牧村さんは平和にする為に連盟を作るのに、その為に抗争で辻霧を潰すんですか?」
「プッ‥‥」
「‥‥?」
飲みかけたウィスキーを吹き出しかけ、牧村さんはクスクスと笑いながら口をぬぐった。
「大丈夫すか?」
「‥平和ねえ~。
俺は別に、平和なんか望んじゃいねえよ」
「え?」
「それと、俺はお前が思ってるほど、お人好しじゃねえよ」
仮にそうだとしても、こんな穏やかに笑える人が、悪人にも思えない。
「さっきの話、辻霧が北帝連より弱いって言ったのは、たんにウチの人数が多いからだ」
「え、でも、北帝連って色んな地域から極悪な人ばっか集まって構成されてんですよね?」
「乱闘になりゃ、個々の強さなんてさほど関係ねえし、最後に物を言うのは数だよ。
それと、極悪はケンカにあんま関係ねえな」
「へえ‥やっぱ人数は大事なんすね」
「数と人脈は俺が最も信頼する力。
だから俺は、一つ上の世界に行ったあとも、この街のバカ共をその力の一部にする為、北日本響走連盟を創った」
「え‥‥」
「平和を望むなら与えてやるさ。
けど、その代わり対価はキッチリと貰う。
族を引退してヤクザに上がっても、連盟がある限り、この街で俺の影響力が消える事はない。
この街の全てはいずれ、俺の手の平に収まる」
「‥‥‥」