御曹司たちの溺愛レベル上昇中
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もめる颯くんと響くんを背に、四人揃ってリビングへと戻った。
すぐに、雪さんはキッチンから自分とわたしにお茶を持ってきてくれて、それを受け取る。
雪さんと響くんがわたしを挟むよう大きなL字ソファに座り、一人寝そべる颯くん。
「……改めて言うけど、雪兄さんだけ二人きりのシチュエーションとかずるくないですか?勿論、雪兄さんのことだから、下心とか無いのは理解してますけど」
「そう?俺はもう少し琉衣ちゃんと二人でも良かったな。……ね、琉衣ちゃん」
「え、えっと……」
これまた珍しいことを雪さんは言うから、返答に困っちゃう。
「分かった!なら夜は僕と二人きりで過ごそうよ。琉衣さん。いいでしょ?」
可愛らしい顔で、わたしの顔を覗き込む響くんだけど……
「なんで夜なの?」
「え、そこ気になります?」
不敵な笑みを浮かべ、わたしの方へ前のめりになってくるから、雪さんの方へ身を引く。
だけどすぐ、寝そべっていた颯くんは響くんの頭をわしづかみにした。
「気になります?じゃない。俺は許さねぇぞ!雪兄は百歩譲る!けど!な!」
「颯くんになんの権利があって、許さないって僕に言うんですか。ただちょーっぴり仲良しの同級生ってだけでしょ?……その立場から何も進展してないくせに」
「う"っ……」
ぼそっと言われた響くんの言葉に、颯くんはもう片方の手で胸を押さえた。
……何を言ったのか、こんな近くにいたのに聞き取れなかったけど。
響くんが一枚ウワテなのは、普段もそうだから雪さんも気にとめてない様子だし、わたしも何も言わない。
痛い離して、と颯くん手を払いのけると、響くんは再度わたしに同じ質問をした。
「ねぇ、夜は二人で……ダメ?」
弟要素を発揮し、響くんはわたしの手を握る。
「……うわっ、なんか今ゾッとした。響が悪いこと考えてる。俺、反対。なんかやだから反対」
「雪兄さんまで僕の邪魔を……」
「邪魔……?」