御曹司たちの溺愛レベル上昇中

「え?これ、なんで?」

「球技大会の時に約束したろ。うやむやになったままだったけどちゃんと五個メロンパン、入ってる」


……確かに、そんな約束をしてもらったのは覚えてる。でもあの時は冗談半分かとも思ってたから、びっくり。


「お、お金っ」

「バカ。奢るって約束だっての。それに、お前はこのメロンパンで幸せになれるんだろっ?だったら浮かない顔してないで、食って幸せ顔を見せろ。五個ならもっと幸せだろ?」


食え食え、と颯くんはメロンパンの封を切る。


「ほら」


食べるところを見られながら、ひとくち頬張った。


「どうよ」
「……おいしいっ」
「……だろ」


不思議と自分で買ったメロンパンよりも、すごく甘くて美味しく感じた。同じ購買のメロンパンなのに。


「やっぱお前の幸せはスモールサイズだな。でも五個ならスモールじゃなくなるんじゃね?」

「嬉しいけど、今は全部食べれないよっ。大事に食べるね」

「パンくらい、俺がいつでも買ってやるよ。……お前が笑うなら」

「ん?」

「なんでもない。よーし俺は食い終わった。小柳、お前急がないと一個しか食えないままになって午後腹減るぜ。ちゃんと食えよ?」


食べ終わったパンの袋をグチャっと握り、雑にわたしの頭を撫でると、颯くんは教室を出て行った。
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