御曹司たちの溺愛レベル上昇中
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「あ、琉衣さんっ!」
放課後、一緒に帰ろうとメッセージが来ていて、響くんと約束したわけだけど。響くんの隣には雪さんも居た。
「俺も一緒にいい?響には嫌そうにされたものの了承を得ました」
「そうだったんですね……。わたしは勿論大丈夫です」
響くんらしい。嫌々ながらも頷いた光景が目に浮かぶようだ。
「ありがとう」
「ってことで、寄り道していきましょ。まだ暑いし、アイスでもさ」
歩き出してすぐ響くんに腕に手を回され、雪さんもそれを見てか、手を差し出してきた。
「……雪兄さん、それ繋ぎたいってことですか」
「うん」
「雪兄さんわそんなキャラでしたっけ……もっと奥手だと思ってたのに」
響くんは顔をしかめ、雪さんを見つめる。
でも雪さんはあまり気にせずに、前を向いた。
「んーあまりグイグイはいかないと俺自身も思ってたけど、そもそも琉衣ちゃんと会うの遅かったから、もっと頑張ろうと思って。響の言う……恋路の邪魔とやらをしていこうと」
「……へぇ」
最後の一言だけ、雪さんは響くんに目をやりながら言った。それに対し、響くんは目を細め、二人の視線がまじわった途端に、寄り道のふわっとした雰囲気がピリついたような気が……。
「あ、アイス!何味にする!?」
「え?そうですねぇ──」