御曹司たちの溺愛レベル上昇中
──三人でアイスを食べて帰宅。帰りも文化祭の話をして、響くんはすっかり嫌な気持ちが吹っ切れたみたい。
先に帰っていた颯くんの姿は共有ルームにはなかった。
部屋、かな。
「着替えたらすぐご飯の準備するね」
「今日は、颯くんの手伝い日ですよね?」
「うん、後で呼びに──」
と言いかけたところで、颯くんがおりてきたのが見えた。わたしたちの声で帰ったのが分かったからかもしれない。
「颯くん、今日手伝い日……って」
響くんと雪さんの間を抜け、わたしのもとへやって来た。
それに何か怒ってる雰囲気があって……。
足を後ろに引きかけるも、颯くんは静かにわたしへ何かを向けた。
「何だこれは」
それは、雑にまとめられた紙や冊子。
──っ!!
何か理解し、鞄を落とし咄嗟に受け止めるも、バラバラとこぼれ落ちた紙。
それを響くんは手にする。
「なにこれ……」
「待って!」
止めるも、遅いって分かってる。
「バイト募集のチラシに……一人暮らしのアパート特集……って」
「え?なに?どういうこと?」
響くんが拾い上げた紙を、雪さんも覗き込む。
「説明しろ、小柳」
「颯、そんな怒ったように言わなくても……」
「僕も、怒ってないけどこの紙については聞きたいよ。……なんとなく、というか理由は分かってるけどね」