御曹司たちの溺愛レベル上昇中
説明を求められ、切り出せないわたしを雪さんはそばにきて背中を擦ってくれる。
「小柳」
「颯、もっと優しく……」
「怒ってねぇよ。ただ、なんでこんな紙がお前の部屋にあるのか聞いてんだ」
これは……どう、頑張っても言い逃れは出来ない。
「……新聞のことがあってすぐ、休みだった土日のうちに……もらってきたの。……今のまま居たらよくないと思って」
腕の中にある冊子を強く抱きしめ、理由を話した。ドンと構えてれば、と言ってもらえたけど、わたしがいることで今後も騒がれたりするなら……少しでも、離れたほうがいいって。
「もう、御曹司バレもわたしの貧乏も全てバレているけれど。少しでも皆に迷惑がかからないようにしたいの……」
冊子を強く抱くせいでメキッと音が鳴った。
「なるほど……小柳、目瞑れ」
目の前にいる颯くんの鋭い目に、わたしはゆっくり目を閉じた。御曹司バレも全部わたしのせいだから。叩かれるのは構わない。
「え、颯くん?ちょっと女の子相手に何す──」
「この……ばかっ」
だけど、痛みではなく温かいぬくもりがわたしへを包んだ。