御曹司たちの溺愛レベル上昇中
──え……?
颯くんに抱きしめられたことに、冊子が全て床に落ちれば、その隙間を埋めるようにより強く抱きしめられた。
「俺らは気にしてないって、大丈夫って言ってんだろ。なのに……勝手に離れていこうとすんな。俺はそっちの方が何百万倍も嫌だっつうの」
分かったか!、なんて強く言われるも抱きしめながら背中を擦ってくれる手は、とても優しくて。
静かに泣きながら颯くんに頷き返す方が精一杯だった。
「ちょ、何いい雰囲気になってるの!?ずるい颯くん!僕にもさせてよ!」
「俺もする」
「は、邪魔だっての!つかあちぃ!」
三人の御曹司に包まれ、増えたぬくもりが不思議と暑いはずなのに、すごく安心するもので。
「だめだよ。居なくなるのは。琉衣ちゃんが居ないと、寂しいし何食べたらいいのかも分からない。俺、料理禁止令出されてるし」
「そうそう。もう琉衣さん居ない生活には、戻れないんです。僕」
「俺も。お前はもう、俺らにとって必要不可欠なんだよ。……だから約束しろ。ここにいるって」
拒否権はなし、と同時に言われ、笑顔だが泣いてるんだか分からない顔でわたしは頷いた。
「よし、解決ですね。というか颯くん、なに抱きしめてるの、僕らの前で」
「ち、ちちっちげぇし!俺は寂しいとかじゃなくて、小柳がまた貧乏生活するのは──」
「はいはい、ツンデレご苦労様ー。この紙たちはポーイ」
「はぁツンデレ!?」
「颯、お手伝い日。安心したらお腹すいた」
こぼれ落ちた物全てをゴミ箱へ。
この後すぐ、残っていないか部屋をチェックされたのであった。