御曹司たちの溺愛レベル上昇中
▶▷なんとも言えない気持ち
わたしがシェアハウスを出る検討がバレてから、数週間。
三人の誰かと二人でいるたびに、必ず誰かが入ってきて、邪魔だのなんだのって騒ぐ、という生活に。
そんな中、まだ少し人の目を気にしつつも文化祭の準備を進めていた。
咲ちゃんとの約束通り、一緒に衣装係になってひたすら縫う作業を繰り返す。だけど、文化祭までの日数がなくなってきて、追い込まれ気味。
「……ふう、これも出来た」
持って帰ってまで作業をしないと間に合わないレベル。だから共有ルームで黙々と縫っていたのが一つ完成した。……本当は部屋でやってたんだけど──『籠もるな』って三人から言われて。
「ほー……すごいね琉衣ちゃん。器用だ。小さい着物って……これはぬいぐるみ用?」
「ぬいぐるみ、というより人形用……ですね」
「お化け屋敷だもんね。だから赤い着物なんだ」
雪さんは興味あるのか、わたしが塗ってるところを右隣からみていて、左には音楽を聴いてる颯くんがいる。テーブルを挟んだ向かい側には勉強をする響くん。
わたしが縫い終わるまで、ひたすら沈黙の時間になるけど、時折顔を上げた時に響くんに微笑まれたり、わたしに近いと雪さんが颯くんに怒られたり。