御曹司たちの溺愛レベル上昇中
「深くはねぇけど……響、消毒液と絆創膏」
救急箱を手に戻ってきた響くんに、颯くんはよこせ、と手を伸ばすも響くんは渡さんとテーブルの上で絆創膏と消毒液を出し始める。
「嫌です。僕がやる。琉衣さん……指、見せて」
ちょっと行儀が悪いけど、と響くんはテーブルに座り、わたしの指を処置してくれる。
「……俺の方が近いだろうが」
「だめ。颯くん雑にやりそうだもん」
「やらないし、綺麗に出来るっての」
「まぁまぁ……」
口を尖らせる颯くんを雪さんがなだめる。
その間に、消毒液し手際良く巻かれた絆創膏。
「はい、これで大丈夫ですよ」
「ごめんね、ありがとう。雪さんも、針ありがとうございます」
ずっと持っていてくれた針を受け取り、途中のところに針をさした。
「指、もう痛くない?」
「はい、大丈夫です。あと少しなので残りやっちゃいますね」
続きをやると伝え、やろうと思っても何故かずっと視線を感じ、手を止めて三人を順に見ていけば、微動だにしないでわたしの手元を見ていた。
「あの……」
「お前がまた刺してもすぐ対処出来るように見てるだけだ」
え……そんな見られながらやるの、わたし。