御曹司たちの溺愛レベル上昇中
***
胸に重たさを感じながらも、大反響の午前中。
わたしはひたすらおばけ役のとして驚かせていた。
でも何故か驚かれるとこっちも驚いちゃうのが謎。
「……ふぅ」
さりげなくポケットのスマホを見れば、もうすぐお昼。交代の時間になるタイミング。
──次で最後のお客さんになるかな。
『……琉衣さん、どこに出てくるのかな。ネタバレはしないよって言われたから、すごく気になりますね』
『うん。というか……ちょっと?ちょっとじゃないだいぶ本格的だよね』
『何?雪兄さん怖くなってきたんですか?』
『いや、すごいなって』
これはこれは。
声で分かる。雪兄さんってワードでも。
響くんと雪さん、すぐ近くまで来てるって。
交代になるし、最後は迫力増し増しで──
カーテンの隙間からタイミングを計り、思いきり手と顔を出しに行った。
「おっと……可愛い吸血鬼さんですね。写真撮っても?」
「あ、琉衣ちゃん」
あれ……びっくりさせるつもりでいったのに、二人共全然驚いてない。
雪さんは手を振ってるし、響くんなんて笑いながら写真撮ってる。
「この後、一緒に響のところに行こうね」
「執事喫茶ですね、おっけーです」
「……雪兄さんにはサービスしないからね」
この後、化粧を落とし着替えを終わらせを教室の外で待っていてくれた雪さんと響くんの教室へ向かった。