御曹司たちの溺愛レベル上昇中
も、物凄いお方……だよね?
確かに話し方もだけど、身なりがきちんとされていて、社長秘書ですって言われたら──信じちゃう。
嘘の名刺とは思えないけど……
いい人なのかもしれない、とは言えすぐに信じてしまうのもいけないだろうし。
『あやしい者ではないのですが、確認にお電話にて、わたくしのなまえを社長にお伝えください』
『え?』
『それとお住まいの件なのですが……ひとつご提案がございます』
ご老人が穏やかな面持ちで話してくれるから、つい、聞くだけなら──とわたしは名刺をポケットにしまった。
この際、学校のことは置いておこう。
遅刻確定だけど……ちょっと期待しちゃう自分もいるから。
『わたくしが今住まいにしている部屋が三つほど空いており──』
『えっ!?』
わらにもすがる思いが強すぎて、遮ってしまった。
『す、すいません……』
『いえいえ。住まいと言えど……シェアハウスなるものでございますので、色々大変なことはあるかと思いますがどうでしょう?』
『ちなみに……おいくらくらいで?』
ご老人はにこりとわたしに笑みを見せる。