御曹司たちの溺愛レベル上昇中
『今のおうち以上には致しませんよ』
『……シェアハウスってことは、誰かは居るんですよね?』
わたしの質問に、ご老人は手を合わせた。
『あ、そうそう!ぼっちゃ……っお三方ともお嬢さんの通われている学校の子達でございます』
ぼっちゃ──?
気になったけど、それよりも安心材料が増えたことは嬉しい。
『三人とも、同じかぁ……』
だったら仲良くなれる可能性も、うまくやっていける可能性も大じゃない?
『お家にはお嬢さんと誰がお住まいに?』
『あ、わたしだけです。父の単身赴任に母がついていってるので』
『なるほど……そのご年齢で一人暮らしをされていたのですね。素晴らしい』
小さく拍手してくれるご老人だけど、一人暮らし歴は一ヶ月なわたし。
『ご両親への相談もありますでしょう。ご返事が決まり次第、名刺裏面の番号にお電話くだされば対応致しますね』
裏面?
ポケットから名刺を出して確認すれば、携帯番号が書かれていた。
『わたくしの番号です。アパートのお話に加え、長話になってしまいましたが、ご検討を』
『あっ……はい』
『では、わたくしはこれで失礼致します』
深々とお辞儀をしてご老人は帰っていく。
──なんか、この短時間で凄い濃い話ばかりだったな。
この話を蹴ったら、わたし本当にホームレスになるかもしれない。
野宿の女子高校生生活……絶対イヤだ。
……よし。
それからすぐにわたしは、両親に電話をして取り壊しの件とシェアハウスの件を話した。
どちらにも驚いていたが、信用できる企業の方なら問題ないのでは、と。
両親からも社長さんとご老人への電話をして話をしてくれるとも言ってくれた。
わたしが、最終的にどうしたいか決めていい、シェアハウスを断るなら、新しいアパートを探そうって。