バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます
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「森谷先生!」
佐原が救命救急科に駆け込むと、ちょうど拓翔はパソコンでサマリーを確認しているところだった。
「どうした」
「至急の伝言です」
それだけはハッキリ言うと、拓翔のそばまでやってきて小声で話しだした。
「さっき帰ろうとしたら通用口に太田進太郎君のお父さんがいて、古泉を車に乗せて行ってしまいました」
「なんだって!」
佐原が驚いて飛びあがるくらい、大きな声で叫んでしまった。
「どうしてそんなことに」
拓翔はすぐにパソコンを閉じて、立ち上がる。
「恵子さんがもう長くないとか、会って欲しいとか太田が言ってました」
「場所は言ってたか」
「太田家の離れだそうです」
「わかった。ありがとう」
礼を言い終える前に、拓翔は駆け出した。
「あら、先生どちらへ」
近くにいた看護師がのんびりと声をかけてきたが、佐原がしれっと答えた。
「急患なんだ。森谷先生はしばらく手が離せない」
「はあ~、またですか。森谷先生、もう勤務時間は過ぎてますけど」
「えっと、先生は残業してたの?」
「はい。佐原さんからも言ってやってください。働き過ぎだって」
佐原は我ながら勤務途中で抜け出すのをうまく誤魔化せたと思ったのに、まさかの残業だったらしい。
やれやれと思いながら、香耶に何事もないことを祈った。