バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます
香耶が再び勧めると、拓翔がホッとした顔をする。
「ねえ、拓翔。しばらく一緒に住まわせてよ」
佐和は強気だ。どうしてもマンションがいいのか、今度はねだるように言っている。
「ここから近いし、便利だもの。たしか広くて部屋数も多かったわよね」
一度言いだしたら引かない人だと知っているからか、とうとう拓翔が折れてくれた。
「わかりました。部屋だけは余っていますから、しばらくお使いください」
返事を聞くなり、佐和が香耶に話しかけている。
「ですって。香耶さん、今日から三人で住みましょう!」
「えっ、三人ですか」
佐和の声に、拓翔の低い声が被った。
祖母は受け入れるが、看護師は通いで十分だろうと感じられる言い方だった。
おまけに「断れ」といっているような厳しい視線を香耶に向けてくる。
香耶も拓翔のマンションは避けたい。
丁寧に断りの言葉を言いかけるより早く、佐和が拓翔に言い返した。
「香耶さんが一緒なのは当たり前でしょ。あなたは仕事で留守が多いのよ。病人をひとりにするつもり?」
「そう言われましても、おばあ様」
もう拓翔は黙り込むしかなさそうで、香耶から見ても気の毒なくらいだ。